2015/04/08

ここに、生きて

 私の中では、幻想が崩れかけていました。努力に努力を重ねれば、大きなことが達成できる、とひとたびは思いこんだけれど、結局そういうことはなかった。これからは自然に身をゆだねればいいんだ、自然はこの傷を癒してくれるだろう、と思いました。(小川国夫「私たちの終戦」)

 小川国夫さんが亡くなって、今日で丸7年がたちました。師がいなくなり、弟子は育つ。そのとおりになっていることを信じます。

 今年の命日には、遺稿集になった数冊のうちの一冊『虹よ消えるな』を出してきてめくっていました。死の前年に書いていた随筆が中心です。小川さん本人から「戦争」の話もいろいろ聞きました。彼というひとりの少年が体験した「戦争」について。

 ぼくはきっと、まだまだ、あと何十年か生きるでしょうから、ずっと後になって、思い出して小川さんのことはきっと詳しく書きます。いつまでも鮮明に覚えているはずです(もし忘れたらそれは書かれないだけでしょう)。とにかく慌ててやる仕事ではないと思っています。それよりも、小川さんから受け取ったものは、日々、生きてます。日々、だれかに手渡してますよね。大丈夫、少しずつやってます。それ以上の仕事はない。言われなくてもわかってると思いますけれど。

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